手のひらの六花更新

氷河誕に上げる予定だったお話を更新しました。
というか、これを氷河誕前にUPして、氷河誕にはR18を持ってきたかったのに……という、誕生日は桃色で祝わなきゃ、という謎の自己ルールに従えなかったのが残念。

直前で、アイザックに関する解釈を変えたので修正していて誕生日更新は間に合いませんでした。何カ月も文字とにらめっこしながら書いちゃ消し書いちゃ消しして悩んでいたことが、もうだめだーと諦めてしばらく書くのをやめたころに、ふっと新しい解釈が降ってくること、ないですか?今回それでした。

ので、本日雑記のお題はアイザックです。
初出版はあんまり深く掘り下げなかったから気軽に書けたけど、真剣に掘り下げるとめっちゃ深いな、アイザック……。

アイザックを考える時に外せないのは、氷河の左目の傷ですが、実際のところ、あれはいったいどの程度の怪我だったのでしょうね。

氷河自身は「この程度、瞼を傷つけたにすぎん。失明まではしないぞ」って言っています。
なおかつ、ND時点では包帯を外していて、視力に問題があるような描写も見受けられないことから、無印終了からNDまでの間に完全に治癒したのだろうと思われます。
失明するほどの傷ではなかった、は事実認定しても差し支えない、かな。

ただ、ND時点で失明が避けられているからと言って、深い傷ではなかった証明にはなりません。
となると、可能性は2つ。

A 氷河の言葉どおり瞼しか傷ついていない状態だった
B 氷河の言葉は事実誤認、あるいは、氷河の強がり、又はアイザックへの気遣いに過ぎず、かろうじて治癒はしたものの、それなりに深い傷だった

わたしは深く考えることなく氷河の言葉どおりAだとしてこれまで創作してきましたが、今回は一応、Bの可能性も考えてみたいと思います。

受傷直後はわりと激しく出血し、その後しばらく左目は開かないほどでした。
出血量からして瞼のみの怪我だったにしろ、かすり傷程度ではなさそうです。
となるとどの程度の怪我であったか、ハーデス編の描写がポイントになってくるわけですが、失明していた紫龍が「冥界では見える」「冥界では肉眼でものを見ていない」状態であることを氷河は知ったにも関わらず、自分自身の左目については包帯を外してみようともしていませんよね。その行動をもって、「本当は治癒しているが、何か意図があって包帯を外さなかった」と解釈してきましたが、ちょっと待って。

「肉眼でものを見ていない」なら、包帯があろうとなかろうとどうでもいいことじゃない……??
怪我の具合が治っていようと治っていなかろうと、氷河が面倒がって包帯を外さなかった可能性はありありです。あってもなくても「見える」んだもの。緊迫した戦闘中にわざわざ外す意味もないじゃない……??包帯を外していない深い意図なんて特にないんじゃ……??

いきなりあの、巻かれたままの左目の包帯に、深い意図などないという結論が出てしまいました。いけません、それはそれで氷河らしくて可愛いけど腐的にいけません……!

と、とりあえず、それは一旦置いておきます!

え、えーと、話を元に戻して、氷河の怪我がハーデス編時点で、本当に治癒していなかった、と仮定してみます。「本当は治癒していたけど意図あって包帯をしたままにしていた」という解釈を白紙にしてみるわけですね。

出血具合からは、瞼にどの程度かの裂傷を負ったのは確実。
ポセイドン編終了からハーデス編までどのくらいの時間が開いていたかは諸説あるところですけども(リンク先某様の考察など大変大変読み応えありますので参考にしてみてください)、2週間~1ヶ月くらいとわたしは想定しています。(そんな短い期間にすらミロ氷をぶっ込みたい乙女心。3か月も4か月も天蠍宮で同居しているように読めるかもしれませんが、六花はせいぜい2~3週間の出来事なんです笑)
単なる瞼の傷だけならば、抜糸(平均10日ほどで抜糸できるようです)すればだいたい包帯も一緒に外れますから。
ハーデス編開始時点で包帯が取れていない=抜糸できていないor治癒していない=あの傷は、瞼どころか眼球に達していたという可能性がでてきます。

傷を負った直後、氷河は左目を開けていませんよね。
単に血が目に入って開けづらかったのか、開かないほど深い傷だったのか、いずれにせよ、鏡も見れないあの状況で、どこまでの傷か、正確に本人が把握できていたかはとてもあやしい。

ちなみに、眼球の場合、角膜に外傷を負っても、網膜に不可逆的な外傷を負わない限りは十分に治癒の可能性はあるようです。
聖闘士の氷河ですから。
痛みにも血にもそう弱くないんじゃないでしょうか。
眼球に傷がつくような大怪我でも、自覚なく、「この程度」と言ってのけた可能性はあります。
あるいは、眼球に達する傷を負った自覚があったとしても、アイザックに対しては、罪の意識から、この程度、と言ったのかもしれない。
または単に、かっこつけの強がりで、この程度、と言ったのか、大真面目に自分の傷の深さに全然気づいていなかったのか。

いずれにせよ、氷河の左目は実は大ダメージを受けていた、と仮定しても矛盾はないように思います。

そうなると、冥界で、氷河が包帯を外さなかったからといっても不自然じゃない。

紫龍は外傷があったわけではありませんよね。
マハローシニーの光で失明していた紫龍と違って、氷河は外傷なので、雑菌(冥界にいるかどうか不明ですが)に傷口を晒すのはよくないと考えたかも。
又は、ある程度治癒していても、あまり人目に触れさせて美しい状態ではなかったのかもしれない。意外に「美しい」ものに拘りのある氷河なので(マーマとのシーンより推察)、第七感で戦うことを覚えた少年に、視覚はあまり重要でなく、ならば、あえて醜く治癒経過中の傷口を人目に触れさせるまでもない、と。

ね?

ちゃんと(?)がっつり眼球まで傷ついていて包帯が必要だった可能性も排除できないし、氷河の言葉どおり、瞼しか傷ついていない軽症で、既に治癒していたけど意図して包帯は外さなかったのかもしれない。

どちらの可能性も五分と五分。

なので、氷河サイドから深い傷だったか浅い傷だったかを考えるのは一旦置いておいて、アイザックの意図という視点から今度は考えてみたいと思います。

こちらは4パターン考えられると思うんです。

1 意図して眼球を傷つけた
2 意図せず、結果的に眼球を傷つけた形になった
3 意図して瞼しか傷つけなかった
4 意図せず、結果的に瞼しか傷つけられなかった

わたしの今までの解釈は3でした。
でも、可能性で言うなら全部ありうる、と思う。

1の場合。
氷河が「俺の目を潰せ」と言ったから、言われなくともそうしてやる、と、その言葉通りにがっつりいったわけですね。
なぜそうしたか、は無数に分岐があります。
氷河の気が済むように誘いに乗ってやった、とか、あるいは、アイザックは心底氷河に憤りを感じていたとか、はたまた、氷河だろうと誰だろうと海闘士の責務を淡々と果たしただけ、とか。
ただ。
氷河の目は結果的に潰れてはいないので。
まがりなりにも海闘士。本気で眼球を潰しにかかったなら、目標を仕留めそこなうもんかな?
だいたい、本気なら足で蹴り飛ばせばいいところ(氷河はアイザックの足元に這いつくばっていてめちゃくちゃ蹴りやすい位置関係にいたのに)、多分、指ですよね、これ……
だから、可能性としてはゼロではないけれど、1はかなり可能性としては低いのではないかな、と思うんです。
意図して本気で目を潰しにいっていたならやり遂げられなかったことに矛盾が生じるかなーと。(もちろん、アイザックの言葉通り、どうでもよかった、のかもしれませんけど。絶対潰してやる!ほどの故意性もないけど、潰れたら潰れたでいいわ、くらいの未必の故意、的な。)

ただ、目標を仕留めそこなってしまった事情がアイザックにはあるにはあって、それが、2と4にもつながるんですけど。

2と4というのは、深い傷であれ、浅い傷であれ、アイザックの意図に反してそうなってしまった場合です。
脅しか威嚇、あるいは警告のつもりで放った攻撃が思いがけず深く入りすぎてしまって眼球に傷がついた。

又は

本気で氷河の目を潰しにかかったのに、結果として、瞼を(あるいは眼球のごく浅い部分を)傷つけただけで終わってしまった。

真逆の現象ですが、どちらも原因は同じです。
アイザックが後天的な隻眼だったから。
距離を、測り損ねた可能性があると思うんです。
隻眼となって1年。片目での視界、どの程度慣れていたでしょう。
目標物に対する距離を正確に測ることに、もしもまだ慣れていなかったなら。

小宇宙による攻撃(オーロラボレアリスとか)は目標物との正確な距離はあまり意識しなくてもできたと思うけど、目潰しという物理攻撃は、とても皮肉なことに隻眼ではうまくいかなかった、としたら。
たった瞳ひとつぶんですが、彼の意図と僅かなズレが生じた、可能性はあると思うんですよ………。

その傷が深いか浅いかに関わらず、自分が意図せざる結果になったことは、アイザックの心をも少なからず傷つけたに違いない、と思うのです。
戦士として生きている彼にそれはとても酷な結果だと思うから。

だから、わたしは、2と4の解釈は捨てたい。
可能性としてはあるけど、そう解釈することは、わたしが辛い。
アイザックがあまりに切なすぎて。
氷河の傷は、できれば、「アイザックの意図どおりに」ついた傷であって欲しい。願望です。

結果的に今までの解釈と同じ、アイザックの意図で、故意に軽い傷しかつけなかった、という、今更改めて検証するまでもない結論に落ち着いてしまいましたが、いいんです、ふわっと考えても、理詰めで考えても同じ結論になるよっていうことが今回の成果です。

だから、ハーデス編が始まるまでに治癒していた、けれど、氷河の意志で包帯は外していない、という解釈で今後も書いて行きます。

でねでね、どうしてアイザックが氷河の目を潰さなかったのか、ということなんですけど。

単にやさしさとか、弟弟子に情けをかけて、とか、氷河のことを好きで、とか、事はそう単純でもない、とも思うんですよね。
戦闘で無我夢中だった氷河が、海底から戻って自分の傷の状態を正確に理解して、アイザックの気持ちをどう理解したか、というのはとても難しいですよね。
アイザックと氷河は互いに誰よりわかりあっているから、考えていることが手に取るようにわかる反面、だからこそ、氷河には、アイザックが海闘士になると決意したことがどうしてもどうしても理解できないはずで。
氷河が知っているアイザックは絶対にそんなことをする人間じゃないもん。
だから、「アイザックを海闘士にさせた何か」はミッシングピースなのね、氷河にとっては。
ピースの欠落した状態では決して完成しない「海闘士アイザック」という絵なんだけど、でも、彼が地上を破壊するその姿は間違っているっていうことだけはわかる。
全部を理解しないまま、結果だけは飲み込まないといけないの、つらかっただろうな……。

 

その欠けたピースの部分、氷河が知らない、アイザックの物語は、また別の話になりますね。
何を思って氷河と戦ったのか。
なぜ海闘士になることを選んだのか。
氷河の物語の中では書けないので、いつかまた雑記ででも書ければいいな。

それでですね。
わたしは氷河再推しでむかしも今も大好きですけど、だから敢えて言っちゃいますけど、氷河、やっぱりちょっと甘っちょろいですよね!?(そこが好きなんですけど……)

氷河視点でそれを書くのはおかしなことになるので書けなかったんですけど、アイザックに対して氷河、「俺の目をつぶせ」って言いましたよね。
あれってね、とんでもなく、甘えた台詞だと思うんです。
アイザックの左目に対して責任を感じているなら、その場で、自らの左目をくり抜いて差し出せばいいんですよ。
それを自分ではせずにおいて、よりによって当のアイザック本人に落とし前をつけさせる、というところが……。
ツイッターなら絶対炎上案件です笑
氷河「@isaac 生きていてくれたのか……。詫びても詫びきれない、俺の目を潰せ、同じように顏に傷をつけろ!そして殺せ!」
モブA「@isaac@hyoga あんなことしたアイザックさんに対して今度は加害者になれですか(呆)それ言われたアイザックさんの気持ちを考えたことあります?そういう形で謝罪しても、すっきりするのは自分だけだと思います。」
モブB「@isaac@hyoga 口だけ乙w」
モブC「@isaac@hyoga FF外から失礼します。嘱託殺人は罪に問われますよ。削除した方がいいと思います。」
ああ~、見える、見えるよ、氷河くん、炎上は恐ろしいよ!!笑

真面目な話、氷河は心底申し訳なく思っていて、本当に命と引き換えでも詫びきれないと考えてつい口走ってしまったと思いますが、ただ、やっぱり言われた方はたまったもんじゃないですよね。
氷河は自覚なくアイザックに甘えていて、アイザックも自覚なくそれを許していて、修業時代はそれで誰も困っていなかったわけだけど、ああいう形で対峙して初めてそれが違和感になる。
ああ、お前、自分の罪悪感の落とし前までも俺につけさせる気なのか、と、すごく複雑だったと思うんですよ、アイザックは。お前ってそういう奴だよな、変わってないな、っていう懐かしさと愛おしさと、やりきれない苛立ちと。氷河に対しての苛立ちというより、同等であるはずの氷河を無意識に庇護下に置いていた自分自身の傲慢さに気づいての後悔、みたいなね。氷河が想像できないような複雑な思いはあったはず。

ちなみに、紫龍なら、あれ、間違いなく自分で目を潰してましたよね。
問答無用ですよ。相手が止める暇もない感じ。迷いがない。

ただ、氷河好きとして氷河を庇わせてもらうと。
氷河にはね、その発想は、できなくても無理はないと思うんです。
氷河は幼少期にしっかり愛されて育った子どもだから。
加えて母親はもしかしたらロザリオ持っていたことからしてカトリックかな、と思うんですけど。宗教詳しくありませんが、自殺は罪だと考えられていたはず。
けじめのためにではあっても、自らの身体を自分自身で傷つける、という発想が、良くも悪くも氷河の中にはなかったんではないでしょうか。

でもね、なんというか、氷河のそういう、「戦士に不向き」なほどの裏表のなさ、悪気ない素直さが、アイザックに、最期の瞬間、やさしい兄弟子の顏を取り戻させたのかもしれないな、そしてそれはアイザックを救ったのかもしれないなとも思うんです。

うーん、難しいですね、シベリア。そして奥が深い!!

でね、でね、既にいい加減長いけどもうひとつあるんです。

カミュの死とアイザックの死。
氷河にとってどちらもすごく重くて同列に語ってしまいがちなんですけど、それでもやっぱり意味は全然違うように思うんですよね。

聖闘士として戦い、死んだカミュと、海闘士として氷河の前に立ったアイザック。

アイザックがどんな事情でそれを選択したのであれ(個人的には単純に悪の道に堕ちたというよりは、28歳弟なカノンとの出会いの影響が大きかったと見るべきと思っていますが)、聖域サイドにとっては、やはりそれは重大な過ちなんですよね。
ほとんど内輪もめの、銀河戦争ともサガの乱ともわけが違う。
一般の人を巻き込んだ、その時点で、氷河はやはり心の中の兄弟子と訣別せざるを得なかったのでしょう。
氷河は今もアイザックのことを大好きで、心から彼に申し訳ないことをしたと悔いていると思いますが、それでも、アイザックと戦い、彼を倒したことについては、どこかで、「仕方なかった」「誰かがそうしなければならないなら自分がけじめをつけられてよかった」と割り切れた部分はあったのではないかと思います。後悔しているのは、アイザックを海へと結びつけるきっかけをつくってしまった自分の愚かな行為そのもので、彼と戦い、斃してしまったことではない、みたいな。矛盾しているようですが。わたしの拙い言葉でニュアンス伝わるかなあ?

一方で、カミュの死については、氷河はなかなか割り切ることは難しいんじゃないかな。
カミュは正義に悖っていたわけではないので。
カミュが何を考えて戦ったかは作中で明かされていないわけですが、氷河は「男なら途中で節を曲げる事なく自分の立場で闘い抜く」ことを教えてくれるために戦ったのだ、とカミュの行為を解釈しているわけで。
カミュは偽教皇の企みに加担していたわけではない(星矢も瞬も完全スルーで通していますしね)ことは明らかで、となると、つまり、カミュは真実、自分を導くためだけに戦い、そして死んだ、と理解しているわけで……。

これはキツくない??
なかなか簡単に割り切れない気がする。

いや、もちろん、原作では氷河はすっきり(?)割り切っているように見えるけど、そんな簡単なものじゃないよね!?
あの氷河だよ!?

派生ではあるけど、Ωで、氷河が水瓶座聖衣を「我が師の聖衣」と現在進行形で無意識に言い切ったことに、わたしはすごく衝撃を受け、そして心の中でΩスタッフと熱い握手を交わして泣いたもん。
Ωってカミュが死んでから何年経つ設定だよ……でもわかる。だよね、氷河、まだ終わってないよね、君の中ではね、みたいな。簡単に過去にできない葛藤はあるに違いないよね、みたいな。

そう思うから、わたしは延々とカミュの死を克服しようともがく氷河を書き続けているんだと思います。
あっさり克服しちゃうクールな氷河も好きですけどね!

そんなこんなを盛り込んだ、手のひらの六花6話目でした。
本編より多分雑記の方が長い笑
全然盛り込めてない笑

断定口調で書いていますけど、毎度のことながら、「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前ん中ではな」レベルの妄想ですのでご容赦を~。